2025/04/21
医学科 研究活動

本学医学科第6学年 藤村晋太郎さんがヒト重複下大静脈に関する英文原著論文を筆頭著者として発表し、学長賞を受賞

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学長賞を授与された藤村晋太郎さん

 2025年4月16日に開催された医学科教授会において、宮澤啓介学長より医学科6学年 藤村晋太郎さんに「学長賞」が授与されました(学年は、論文掲載時)。

 これは、藤村さんがヒト重複下大静脈に関する英文原著論文を筆頭著者として発表したことを表彰するもので、発表論文は「Histological characterization of the inferior vena cava in cases of duplicated inferior vena cava」というタイトルで、国際誌「Anatomical Science International」に掲載されました(掲載論文はこちら)。

 なお、藤村さんは、第4~5学年で、自由な学び系科目の「リサーチ?コース」を履修しています。



教室主任コメント(人体構造学分野 伊藤正裕 主任教授)


 藤村さんは、2年次より本分野に通うようになり、「ヒト重複下大静脈の研究」をテーマとして取り組み、本学の医学会総会および日本解剖学会学術集会での発表を経て少しずつ論文化を進め、卒業式を終えた今年3月末に、遂に論文が国際誌に掲載されました。同氏が、医師国家試験直前になっても、本分野集会室の円卓にて論文校正を必死に行っていた姿が今も目に焼き付いております。

 血管系の変異のひとつである重複下大静脈は、今までに多くの症例報告や発生学的解釈の論文が発表されておりますが、今回の同氏の研究の独自性は、肉眼解剖学的計測に止まらず、静脈壁の組織化学的な詳細な観察も行い、いわゆるご献体を「マクロからミクロまで」を形態解析して新知見を得たことにあると言えます。形態系の研究は、一度標本を採取して固定してからは、各種測定、切片作成および染色など、完全に自分のペースでできるため、医学生が放課後や休講時間を利用してコツコツとひとりでも進められるのが強みです。そうは言っても、学生時代に論文掲載にまで漕ぎつけるのはやはり至難の業であり、同氏に対しては、ただただ頭が下がる思いです。

 この春より、藤村さんはマッチング第一希望の本学茨城医療センターでの初期研修をスタートさせました。本論文の共同執筆者であり同級生でもある吉村詩緒莉さんとともに、臨床医としてはもちろん、アカデミアにおいても今後本学を引っ張ってくれる存在になってもらいたいと心より願っております。

受賞者コメント(医学科第6学年 藤村晋太郎さん


 この度、学長賞を受賞できましたこと、大変嬉しく、光栄に感じております。

 今回の論文を通じて、解剖学実習で学んだ肉眼レベルでの構造観察に加え、顕微鏡観察、そしてデジタル画像解析に至るまで、多岐にわたる研究手法を実践的に学ぶことができました。一つの疑問に対し、様々な角度からアプローチし、地道なデータ収集と分析を重ねることで、科学的な知見を導き出すプロセスを体得できたことは、私にとって大きな財産です。この経験で培った探求心と多角的な視点を忘れずに、将来は医療の発展に貢献できるよう、より一層努力を続けていきたいと考えております。

 2年次の解剖の授業をきっかけに卒業までの長きにわたりご指導頂いた主任教授の伊藤先生と表原先生には厚く御礼申し上げます。また、人体構造学分野の先生方、スタッフの皆様にも多大なるご支援を賜りました。この場を借りて深く感謝申し上げます。


【本学の学生の研究活動支援の取り組み】

  • 学長賞:医学部学生が在学中に筆頭著者として英文原著論文を発表?アクセプトされた場合、または優秀な業績?研究成果を発表した場合に授与されるものです。
  • 学生の研究活動支援:本学医学科では、希望する学生は研究室にて指導教員のもとで研究をすることができます。カリキュラムとしても、基礎医学の講義? 実習と臨床医学が終了した第4学年で、「グループ別自主研究」のコースで、希望する研究テーマを選び、約3週間基礎医学の研究室に所属し、研究者の考え方や方法論などを体験し、研究マインドを育んでいます。また2022年4月からは自由科目として「リサーチ? コース」が導入され(2023年度に自由な学び系科目に改称)、さらに学生の主体的な学びを後押しする体制になっています。


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